会長所信

北大阪商工会議所青年部
令和4年度会長 柿丸 裕

令和4年度スローガン

OPEN A NEW ERA!
新時代を切り開け!

はじめに

昨今、コロナ禍により世界経済は二つの世界大戦と世界恐慌に次ぐ、近現代史上4番目の規模となる危機に陥った。世界が大きく変容する中で、民主主義や資本主義という経済、社会システムは維持されるのか。未来が見通しづらい世界となった。

振り返ると、感染症は人類史上に大きな影響を与えてきた。14世紀のペストは封建社会が近代市民社会に移行するきっかけとなり、また、20世紀のスペイン風邪は第一次世界大戦の終結を早めることとなった。21世紀の新型コロナも歴史の分岐点として刻まれることとなるだろう。

そして、日本は現在、コロナ禍だけではなく大きな過渡期を迎えている。
昨年、2021年は団塊ジュニアと言われる第2次ベビーブーム世代が50代に突入する節目の年であった。この世代は、バブル崩壊後の就職氷河期を生き抜いた後も、長らく不況に苦しめられてきた世代であり、「競争社会」の象徴的存在とも言われてきた。
平均給与が最も高い50代に団塊ジュニアが属する2020年代、2025年に開催が予定されている大阪・関西万博、そして、SDGsによる開発目標の期限としている2030年と時代が目まぐるしく進んでいく。

そのような時代の中で、本年創立40周年を迎える我々北大阪YEGは、中期ビジョンに掲げられた通り、北大阪商工会議所の成長エンジンとなって、地域社会の健全な発展を図る商工会議所活動の一翼を担い、次代への先導者としての責任を自覚し、地域の経済的発展の支えとなり、新しい文化的創造をもって、豊かで住みよい郷土づくりに貢献していかなければならない。

2020年のパンデミック以降、私たちの生活のあらゆる場面で、感染防止のため「ディスタンス」が求められ、分断、分散を余儀なくされてきた。我々北大阪YEGも例に漏れず、オンラインツールを活用し、アフターコロナ、ウィズコロナに立ち向かっていくためのセミナ ーや、補助金や助成金に対する情報提供を会員に対しておこなってきた。
オ ンラインによる手法が一般的になってきた中で、今一度考えたい。会員は今何を求めているのか、何を期待して、どのような使命感をもってこの北大阪YEGに入会をされたのか。 ネットを通じて様々な情報を自由に取得できる時代に、取捨選択された情報の提供を本当に求められているのか。オンライン飲み会と称される交流は、人間関係のディスタンスを近くし、会員交流やビジネス交流につなげることができているのか。
コミュニティーの細分化など、英知を結集した新たな手法を検討し、消去法による事業展開ではなく、真の目的達成のための積極的な事業を展開していきたい。
そして、やりがいをもって生き生きとYEG活動をしている多くのメンバーで全国の商工会議所青年部の会長をお迎えし、第40回全国会長研修会 喜多大阪会議の大会目的の達成とともに、ニューノーマルで革新的な会議体の運営を体感して頂きたい。 

会員が主人公になる北大阪YEG

我々は、北大阪YEG中期ビジョンで、会員企業の期待を超え、本会・部会の壁を超え、地域・団体の壁を超え、時代を超えて求められ続ける、質量ともに多様性と厚みのある、名実ともに地域最強の企業家集団となることを目指す。というビジョンを掲げている。
北大阪YEGは現在400名近くの会員数であるが、例会や事業、委員会の出席率から鑑みて、果たして会員企業の期待を超えていると言えるのか。本来、オンラインでの開催は会社や自宅からの参加が可能であり、リアル開催より参加しやすいのではないか。
北大阪YEGの成長は循環により成り立っている。事業や例会への参加による「関係の質の向上」から、ビジネスの交流への関係性の発展により組織が活性化され「行動の質の向上」へと発展する。そしてそれが、メンバーのより一層YEG活動への積極的参加へと繋がり、多くの民意で政策提言をおこなう「成果の質の向上」が実現される。その結果、入会者が増加し、新入会員オリエンテーション等の育成事業を通して「思考の質の向上」が達成され、事業や例会を通して「関係の質の向上」へとまた繋がっていく。
この循環の中で本年度は「関係の質の向上」を起点としたい。事業から直接学び得ることや、メンバー交流にも配慮し、一人でも多くのメンバーが例会や事業、委員会に参加したくなるような「会員サービスの視点」を最重要視していきたい。
400名近くのメンバーが、存分に会員サービスを享受し、生き生きとやりがいをもってYEG活動を展開していれば、メンバーが躍起になって会員拡大をしなくとも、ぜひ入会したいという地域の企業がおのずと我々の前に現れるだろう。
存分に会員サービスを享受し、生き生きとやりがいをもってYEG活動を展開していれば、所属委員会に関わらず、多くのメンバー自らがYEGへの入会を身近な人に勧めるだろう。理事役員や役職をもったメンバーだけでなく、会員全員がやりがいをもって主人公とな って活動できる北大阪YEGとしたい。

成果にこだわったビジネス交流

メンバー間の関係性は、事業構築や日々の委員会の活動の中で構築される。
日々のYEG活動の様々なやりとりの中でメンバー間の「信頼」が生まれ、様々な役割の遂行を通して「信頼」から「実績」へと繋がる。そして度重なる「実績」からビジネスのベースとなる「信用」へと発展する。400名近くのメンバーが、生き生きとやりがいをもってYEG活動を展開していれば、多くの会員間で「信用」が構築されることとなる。この「信用」をビジネス関係の構築へと発展させ、より多くの成果を残さなければならない。その成果こそが、まさに「会員サービス」であり、北大阪YEGの循環による成長を加速させるフ ェーズに他ならない。また、コロナ禍で未来が見通しづらい現代社会の中で、地域の経済の循環を加速させるという意味においても必ず成功させなければならない。

会員は商工会議所のメリットを全て享受できているのか

コロナ禍で経済が混乱して以降、補助金や助成金の相談窓口をはじめとして、ますます商工会議所の重要性が高まりつつある。平常時の業務に加えて真摯に対応をされている職員の皆様には感謝の念に堪えない。北大阪YEGは北大阪商工会議所の部会として日々活動をおこなっており、本会との連携窓口としての委員会を例年設置している。引き続き本会の方々との情報交換や交流の機会を創出することも重要な役割であるが、YEGメンバーに対する「会員サービス」の視点から、本会が会員向けサービスとして企画、提供しているサ ービスを、改めてYEGメンバーに周知徹底することも重要な役割である。YEGメンバーが北大阪商工会議所の会員として会員メリットを余すところなく享受できているのかを追及していきたい。 

この地で事業を展開して良かったと思える地域に

北大阪商工会議所は言わずもがな、交野市、寝屋川市、枚方市、の三市の商工業の経済活性化をテーマに活動している。2020年のパンデミック以降、自粛要請や休業要請、時短要請など地域経済は経済活動を制限せざるを得ない状況におかれた。今こそ経済の活性化の起爆剤となる事業を展開しなければならない。北大阪商工会議所は三市から構成されているというスケールメリットを持ち合わせている。また、地域の各種団体もまちづくりや地域のためにこの地で大いに活躍している。各地域の行政や各団体と連携し、コミットすることができれば、効果の大きい経済活性化に繋がる事業や仕組み、仕掛けを構築することができると確信している。イベント性のある事業を実施することは、地域活性の一つの手法であり目的ではない。今こそ英知を結集して地域活性化の目的を達成させ、北大阪YEG会員をはじめ、この地域で拠点を構え経済活動をおこなっている全ての企業にこの地で事業を展開して良かったと再認識して頂ける事業を展開したい。 

「成果の質」を発揮する年

青年部設立35周年の翌年、2018年以降、提言すべき内容を調査、研究する委員会を設置し、創立40周年を迎える本年、いよいよ提言をまとめる節目の年となった。
経済や社会情勢の状況が目まぐるしく変化する時代の中で、時代に即した提言であるか、三市の商工業の経済活性化につながり、YEGメンバーをはじめ地域の多くの企業にとってメリットがあるのか、根拠に基づいて今一度再確認のうえ最良の提言をおこないたい。
そして、成果の質を存分に発揮し、北大阪YEGの成長の循環へと繋げていきたい。

広域的なビジネスの機会に

日本YEG三大事業や府青連関係事業など、対外事業への参加は、他地域のYEGメンバ ーに触れ「思考の質の向上」につなげることが第一義である。それに加えて、北大阪YEGメンバー間においても、共に遠方に赴き、共に時間を過ごすことで「関係の質の向上」につながる重要な機会であるため、会員サービスの視点からも極めて重要な事業である。また、北大阪YEGメンバーには事業の参加に留まらず、ぜひ他地域との広域的なビジネスの交流の機会へとつなげて頂きたい。

成長の循環の要となる情報発信と会議体運営

「会員サービスの視点」を最重要視するにあたって、広報活動が重要となる。
北大阪YEGメンバーに対する対内向け情報発信と、本会および地域の企業に対する対外向け情報発信をしっかりとすみ分け、状況に応じて誰に何を発信したいのか、目的を明確にした戦略的な広報活動をおこなっていきたい。
事業や例会、委員会の出席率が低迷している中で、どれほど会員サービスに特化した事業を構築しても、その趣旨や事業内容がメンバーの耳に届かなければ事業に出席しようとは思われない。特に対内向けの情報発信に注力し、北大阪YEGメンバーに会員であるメリットを存分に享受して頂きたい。
そして、これらの活動の要となるのが総務、事務局である。
北大阪YEGメンバーに会員サービスを享受して頂くためには、時代の流れに順応した組織運営、会議体の運営は必要不可欠である。昨今、組織運営に活用できるツールやアプリケ ーションが日々開発、運用されている。常に新しいツールを使用することが最良の選択とは限らないが、会員企業の組織運営が北大阪YEGの組織運営の手法と大きく乖離した時、会員サービスの低下に繋がりかねない。中長期視点をもってニューノーマルで革新的な会議体の運営をおこなっていきたい。

さいごに

コロナ禍による社会変化は、日本が提唱する未来社会 Society 5.0 の実現を早める契機となった。社会環境や経済環境、人々の価値観等、様々なものが急激に変化する中で、今こそ北大阪YEGメンバーが「心」で繋がり、一丸となって新しい時代を切り開いていかなければならない。決して、新しく斬新なYEG活動をしようということではない。北大阪YEG会員に対して、会員として享受できる当然の会員メリットを忠実に提供する。そうすることで、北大阪YEGメンバー自らが動き、新たな繋がりを創る「能動創繋」が推進され、「みんながつながり支え合うまちづくり」が実現できると確信している。

さぁ、新しい時代を切り開こう。